2026年1月12日に投開票された前橋市長選挙で、前市長の小川晶さんが6万2893票を獲得し、弁護士の丸山彬さんら無所属新人4人を破って再選を果たしました。
ラブホテル面会問題で辞職した経緯があるにもかかわらず、なぜ小川晶さんは市民から再び支持を得ることができたのでしょうか?
部下の既婚男性とのラブホテル密会問題で昨年11月に辞職し、わずか2カ月後の出直し選挙での勝利です。
市民が下した判断の背景にどのような裏側があったのか調査してみました。

小川晶が再選したのはなぜ?決め手は謝罪行脚⁈

引用元:小川晶Instagram
今回の再市長選では、小川晶さんが62,893票を獲得し、次点の丸山彬さんの52,706票に1万票以上の差をつけて当選しました。
あれほど強い批判を受けていたにもかかわらず、なぜここまでの差がついたのか?
その背景には、選挙期間中に行われた「謝罪行脚」が、市民の受け止め方を大きく変えた場面がいくつもあったと考えられます。
特に支持回復につながったと見られるポイントは、次の4つです。
①厳しい批判に向き合った対話集会

疑惑発覚〜辞職までの対話集会で、小川晶さんは繰り返し謝罪し、批判を真正面で受け止めました。
「10回もホテルに行っていて誰が信用するのか」
といった厳しい声が上がる一方で、別の参加者が涙ながらに
「なぜ彼女の誠意を信じてあげられないのか」
と訴える場面もあり、逃げずに叩かれ続ける姿を見せたことで、「もう十分だろう」という空気が生まれ、批判の場がいつの間にか同情と擁護に傾いていった面がありました。
②街頭で強まった親しみと同情

選挙戦を通じて、逆風となった出来事が、市民との距離を縮めるきっかけとして受け取られた場面もあったように見受けられました。
街頭演説中、子どもが
「(人気キャラクターの)ちいかわに似てる」
と駆け寄ったり、母親たちが涙を流して抱きついたりする様子が報じられました。
疑惑の詳細には触れず謝罪に徹する姿が、支持者の目には「道徳に欠ける人」ではなく「権力(対立陣営)にいじめられている人」と映り、同情票が集まる結果となりました
理屈で判断する前に、「かわいそう」「叩かれすぎでは」という空気が広がり、それが結果的に票に結びついた印象は否めません。
③電撃辞職で強調された「いさぎよさ」

他自治体で不祥事を起こした首長が地位に固執する例がある中で、迅速に辞職したことが評価につながりました。
議会の解散などで悪あがきをせず、自ら辞職して早期の選挙に打って出ました。このスピード感が「いさぎよい」という好意的な評価を生み、イメージの悪化を最小限に抑えました。
演説の最後には「挫折した時のつらさが分かるリーダーになり、皆さんに寄り添いたい」と語り、自身の失態をあえて「人の痛みがわかる理由」として転換して訴えました。
粘らずに身を引いたことで、「悪あがきしていない」という空気が生まれ、批判よりも評価が先に立つ構図になりました。
④勝利しても浮かれなかった「万歳封印」

当選が決まった後も浮かれた様子を見せず、終始控えめな態度を取ったことが、「反省している」という印象を強めた面がありました。
選挙勝利の定番である「万歳三唱」を、「市民に迷惑をかけ、日本中を騒がせた」という理由で自粛しました。
当選が決まっても表情を曇らせ、声を震わせながら「もう一度小川を信じてみようと選んでいただけた責任の重さを感じている」と一礼する姿が、支持者の心を掴みました
どこか“計算された振る舞い”と感じる人がいたとしても、それでも心を動かされた支持者が少なくなかったのは事実でしょう。
これらのポイントから、市民の心理には…
「謝罪し続けている人を叩き続けることへの抵抗感(日本的な許容の空気)」
「不倫は道徳的問題だが、給食無償化などの実績(生活実感)は本物だ」
という現実的な判断が共存していたことが伺えます。

出口調査が映した「有権者の本音」

注目されたのは、投票日に行われた出口調査の結果です。
小川さんが辞任するまでの約1年9カ月間の市政運営について「大いに評価する」「やや評価する」を合わせた割合が 7割を超えていたことが分かりました。
12日の投開票日に行った出口調査で、小川晶氏が辞任するまでの1年9カ月の市政運営について、評価する声が「大いに」「やや」を合わせて7割超となった。
一方で「投票先を決めるとき、小川晶さんのラブホテル問題をどの程度考慮したか」という問いには、 6割が「考慮した」と答えています。
「投票先を決めるとき、小川氏のラブホテル問題について、どの程度考慮したか」の質問について、「大いに」「やや」を合わせて「考慮した」との意見は6割に上った。

街頭活動では
「推しだから」
「たたかれて、かわいそう」
といった声が上がり、ある参加者は
「みそぎは済んだ。もうひとふんばり前橋のために頑張って欲しい」
と話しました。
別の女性は
「保守的な前橋で女性が上に立つのは意味がある。こんなことで辞めてはもったいない」
とコメントしています。
問題を認識しつつも、再チャンスを与えるべきだという判断が見えてきます。
つまり、有権者は問題を認識しつつも、最終的には「市政の実績」を優先して票を入れた可能性が高いということになりますね。
結局は“実績重視”の給食無償化が効いた選挙戦

小川さんは選挙戦を通じて、市長在任中に進めた給食費の無償化などの実績を前面に押し出しました。
スキャンダルの影響は避けられなかったものの、「生活が実際に楽になった」という実感が、最終的な判断材料になった有権者も少なくなかったようです。
朝日新聞は、小川陣営の関係者による
「騒動で悪いイメージがついたのは間違いない。でも、悪名は無名に勝る」
という言葉を紹介しています。
問題は認識しつつも、「実績がある人を選ぶ」という割り切りが、結果的に小川さんの追い風になった可能性は否定できません。
小川晶の再選が「許された」より「選ばれた」理由

不祥事があっても勝てた理由は、端的に言うと「戦術」と「構図」の噛み合いです。
市民と直接話す「対話街宣」やSNS発信で露出を増やし、選挙後も万歳をせず反省を示しました。こうした姿勢が「もう少し様子を見てもいい」と受け取られ、無党派層の票を取り込めたことが再選につながったとみられます。
今回は候補者が5人に分かれ、特に保守系の票が割れました。自民系の支援を受けた候補が伸び悩む中、行き場のなかった無党派層の多くが小川晶さんに流れたとみられます。
知名度や話題性がプラスに働いた面はありますが、完全に許されたわけではありません。有権者が「もう一度だけ様子を見る」と判断した再選と言えるでしょう。

今回の再選は、謝罪を続ける姿勢と迅速な辞職による「いさぎよさ」、無党派層の取り込みと対抗馬の票割れ、これらが重なって生まれた結果です。
とはいえ「許された」というより「もう一度様子を見る」という有権者の判断であり、給食無償化などの実績を守れるか、信頼回復をどれだけ示せるかで評価は大きく変わるでしょう。
今後の市政運営が、今回の審判の正否を決めることになりそうです。
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